クリルオイルは糖尿病に伴う認知機能障害を軽減する
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2025.04.22

この研究では、糖尿病によって引き起こされる認知機能の低下、いわゆる糖尿病関連認知機能障害に対して、クリルオイルがどのように効果を示すかを調べるため、2型糖尿病発症マウスを用いました。 これらのマウスは、記憶をつかさどる海馬という脳の部位で、記憶障害や神経細胞の減少、体内の酸化ストレスや炎症などを起こしました。しかし、クリルオイルを与えたマウスでは、こうした悪影響がはっきりと抑えられたことがわかりました。
細胞レベルの実験でも、クリルオイルは一部の認知機能低下の原因になる物質には直接の効果はありませんでしたが、免疫細胞の一種であるミクログリアに対しては強い働きがありました。特に、炎症を引き起こす「M1型」と呼ばれる状態のミクログリアを抑えることができ、その結果、脳の神経細胞の死も減らせることが示されました。
遺伝子レベルの解析からは、クリルオイルが炎症や酸化ストレスに関係する遺伝子の働きを抑えていることもわかり、これによって活性酸素の量も減少していたのです。
以上のことから、クリルオイルが脳の炎症を抑えることで、糖尿病による記憶力や学習能力の低下を防ぐ効果があることが確認されました。これは、将来的に糖尿病関連認知機能障害への新しい治療法や予防法の手がかりになる可能性があります。