肥満大国アメリカで危険な「赤信号」点る!?
「自己管理能力がない」とみなされて、肥満が就職にさえ不利なポイントとなるアメリカ。 街角でも巨大なお腹を揺さぶりながら歩く人をあまりに多く目にすることでも驚かされますが、その実情はさらに危険な方向へ進んでいるようです。2017年秋に米医学誌『ニューイングランド医学ジャーナル』が掲載した研究論文によると、アメリカの子どものなんと半数以上が成長するにつれて体重が増加し、さらに頻繁なファストフード利用等の不適切な食習慣が続いた場合、35歳までに確実に肥満になる恐れがある!という恐ろしい報告がされたのです。呆れるほどに分厚いステーキや、バケツ並みのサイズのアイスクリームが大好きな人種。大人だけでなく怖い「肥満リスク」は、現在では子どもたちをも蝕んでいるというのです。さらに、それを裏付けるように米ハーバード大学で行った研究でも、「35歳までに肥満になる確率が50%未満なのは、現時点で健康で標準な体重の子どもたちだけである」とされました。また、連邦保健当局(FIO)は体格指数BMI(身長と体重から算出される肥満度を測るための指標)が30以上の人を肥満と定義しているため、これらの研究を照らし合わせると、アメリカでは成人の約37%、つまり3人に1人以上が肥満であると赤信号が点ったのです!
アメリカで肥満の医療費に16兆円を超える支出
米疾病対策センター(CDC)の報告によると、アメリカで肥満傾向の国民にかかる医療費は、年間1470億ドル(約16兆円)を超えているとされています。さらに同センターでは、アメリカの子どもや成人4万1000人以上を標本として行った5件の調査から得られた結果から、身長と体重のデータを基に将来の傾向を予測するためのシミュレーションモデルをつくったところ、2歳の時点で肥満傾向の幼児の場合、その子どもが成人したとき4人に3人が肥満であり続ける可能性が高いことが分かりました。またアメリカの子ども450万人が該当するとされる重度の肥満の場合は、成人後に正常体重に戻る確率は20%にとどまるといいます。中でもアフリカ系やヒスパニック系の子どもたちで肥満率が高く、この傾向は大人にも同様にみられるようです。
飲食店すべてでカロリー表示義務がスタート
そんな肥満大国アメリカでついに、飲食・食品チェーンに栄養情報の表示を義務付ける規則が発効しました。バラク・オバマ前大統領が成立させた法律に盛り込まれていたもので、全米の何千ものレストランや食料品店、映画館などで提供される食品すべてにカロリー表示が義務化されました。この規則はドナルド・トランプ大統領が撤廃を目指している2010年の医療保険制度改革法(通称オバマケア)に含まれて議論を呼んでいたもので、施行が何度も延期されてきましたが、FDA(米食品医薬品局)は20以上の店舗を持つ飲食チェーン、スーパーやコンビニのチェーンすべてで定番メニューのカロリー表示を義務付ける同規則を施行すると発表!すでに大手ファストフードの多くはこの規則を自主的に行っていますが、政府が遅ればせながら義務化しました。メニューにカロリーが表示された場合、1回の利用ごとに30〜50カロリー少なくなるという研究結果もあるとして、FDAは「最も頭を悩ませている健康上の課題の一つである肥満率の大幅改善の一助になり得る」と期待を寄せています。
アメリカでは国民の3分の1以上が肥満で、心臓病や糖尿病、がんの発症リスクが高まり、世界でも10人に1人以上が肥満で、22億人が過体重となっている現在、何百万人もの命を奪う「生活習慣病」への危機が深刻化しています。欧米化傾向にある食文化の日本… 日出ずる国の子供たちは大丈夫?
参考:AFP通 BBS NEWS 世界の10人に1人が肥満 大規模な国際調査、「危機」的状況に警鐘AFPBB News
参考:AFP通 BBS NEWS 米飲食チェーンでカロリー表示義務化、オバマケア規則ついに発効AFPBB News
参考:CNN.jp 米成人の3人に1人が肥満、子どもは17% 状況改善せずCNN.jp