クリルオイルの長期投与は初期の軽度認知機能障害を軽減させる
アルツハイマー病は加齢に伴う神経変性疾患です。食事中の栄養素による進行した認知障害の改善に着目した研究が盛んに行われています。DHA・EPA とアスタキサンチンを豊富に含むクリルオイルは、認知機能の改善に効果的です。この研究では主に、クリルオイルの長期投与による初期の認知機能障害に対する抑制効果を調査しています。
その結果、マウスにクリルオイルを 2 か月間投与 (50 および 100 mg/kg BW ) すると、学習能力と記憶能力が劇的に改善されることが明らかになりました。これはクリルオイルがアミロイド生成経路を制御することでアミロイド β 濃度を低下させ、TLR4-NLRP3 シグナル伝達経路を制御して神経炎症を抑制し、神経細胞の損傷を防ぐことが分かりました。
また、クリルオイルは、腸のバリア性を高め、血清中のリポ多糖の漏出を減らし、ヘリコバクター科、ラクトバチルス科の割合を減らし、デュボシエラおよび アッカーマンシアの相対的存在量を増加させることによって腸内細菌叢を変化させます。特に、クリルオイル補給後、イソ吉草酸、プロピオン酸、酢酸レベルの著しい増加が観察されました。相関分析では、短鎖脂肪酸 (SCFA)、腸内細菌叢、認知機能には強い相関していることがあきらかになりました。
これらの結果からクリルオイルは、微生物叢 – 腸内 – 脳軸を通じて、初期段階で認知障害を予防するための効果的な方法となる可能性があります。
「Long-Term Krill Oil Administration Alleviated Early Mild Cognitive Impairment in APP/PS1 Mice」 Molecular Nutriotion Food Research 2023 Nov 8
Yufeng Du 1、Lin Song 1、Xiufang Dong 1、 Hongyan Li 1、Wancui Xie 1、Yuming Wang 2、Hongxia Che 1
1.青島科技大学海洋科学生物工程学院、中国
2.中国海洋大学食品科学工程学院、中国