クリルオイルはアルツハイマー病を改善する
アルツハイマー病(AD)は、高齢者に多く見られる「もの忘れ」や認知機能の低下を特徴とした病気です。この病気は脳の「コリン作動性神経伝達系」という部分の働きが弱くなることで起きると考えられています。ただ、現在のところアルツハイマー病そのものを治す薬はまだ開発されていません。この研究では、改良型クリルオイル(LPC-DHA)が、アルツハイマー病のような記憶力の低下の改善につながるかを検討しました。実験の結果、LPC-DHAは、短期記憶や長期記憶、物の場所を覚える能力、物体を識別する能力を改善することが分かりました。
LPC-DHAを使うとPKCζやPSD-95という、脳の信号のやりとりに関係する物質が増えたり、記憶や学習を助ける役割を持つ物質が活性化されたり、BDNFという脳の細胞を健康に保つための重要なたんぱく質の量が増えることが分かりました。特に、BDNFは対照群と比較してLPC-DHAを摂取してから6時間から9時間後に大きく増加していることから、LPC-DHAはアルツハイマー病やそれに関連する記憶障害を改善する可能性があることが示されました。以上のことからLPC-DHAは健康補助食品として、アルツハイマー病の進行を遅らせたり、記憶力をサポートしたりする効果が期待できます。
「LPC20K modified from krill oil ameliorates the scopolamine-induced cognitive impairment」
Behavioural Brain Research. 2023 Dec 23:461
Keontae Park 1、 Chang Hyeon Kong 1、 Woo Chang Kang 1、Mijin Jeon 1、Won Hyung Lee 1、Juyeon Lee 2、Sang Chul Kim 2、Seo Yun Jung 1、Jong Hoon Ryu 3
1.慶熙大学校、生物医学薬学科、韓国
2.Croda Korea Ltd.韓国
3.慶熙大学校・生物医学薬学科、東洋薬学科、韓国