クリルオイルは血栓症を改善する

クリルオイルは、オメガ3多価不飽和脂肪酸を豊富に含み、抗炎症作用などを示すことが報告されている。しかし、抗血栓作用についてはまだ報告されていない。本研究では、血栓症のモデルマウスおよびヒト内皮細胞を用いて、クリルオイルの抗血栓作用を検討することを目的とした。
その結果、クリルオイルは、マウスの血管内で血栓ができるのを抑え、出血時間が長くなりすぎるのを防ぐ働きが確認された。この抑制効果は、血液中の炎症物質や血小板の働きを促す成分(トロンボキサンB2、P-セレクチン、エンドセリン-1など)が減少し、逆に血管を広げたり血栓を溶かす働きのある成分(プロスタサイクリンI2やプラスミノーゲン)が増えることが関係している。さらに、ヒト細胞を使った実験では、クリルオイルが「eNOS」という酵素を活性化させ、一酸化窒素(NO)の産生を促すことで血管を健康に保つ働きがあることが示された。また、炎症を引き起こすTNF-αによって活性化された血管細胞への免疫細胞(単球)の接着を抑える作用も確認されている。これは、NF-κBシグナル伝達経路を抑制し、血管の炎症を悪化させるICAM-1やVCAM-1といった接着分子の発現を抑えるためである。これらの結果から、クリルオイルは血管の炎症や血栓の形成を抑える可能性があり、将来的に血栓予防のサポートや抗血栓薬としての活用が期待されている。
「Antarctic Krill Oil from Euphausia superba Ameliorates Carrageenan-Induced Thrombosis in a Mouse Model」
International Journal of Molecular Science. 2023 Dec 13;24(24):17440
Gi Ho Lee 1、Seung Yeon Lee 1、Ju Yeon Chae 1、Jae Won Kim 1、Jin-Hee Kim 2、Hye Gwang Jeong 1
1.忠南大学校薬学部毒物学科、韓国
2.清州大学校保健科学大学生物医学実験学科、韓国