若々しさの秘訣は“炎症の元”を上流で絶つことにあり!
私たちの身体で起こるさまざまな炎症とは、腫れや痛みといった症状を引き起こすだけでなく、実は、内臓障害やアレルギー、生活習慣病、加齢性の疾患などを引き起こす原因でもあるのです。特に最近では、動脈硬化や糖尿病といった怖い生活習慣病が、サイトカインやエイコサノイドといった炎症性のメディエーターによって起こる“慢性の炎症”によるものだということがわかってきました。このため、こうした数々の生活習慣病の予防や進行の抑制、そしてアンチエイジングのためにも、炎症をいかに抑えていくかが重要になるのです。近年の研究で、これらの炎症が起こる過程で『クリルキング』にも含有されている赤い成分アスタキサンチンが、その上流の複数のプロセス抑えることがわかってきました。アスタキサンチンは、サケやイクラ、マダイ、エビ、カニなどに含まれる天然の色素成分。βカロチンやリコピンと同じカロチノイドの一種です。強力な抗酸化作用があることで知られ、化粧品やサプリメント等に有効活用されています。
インターロイキンの放出を押さえて炎症を抑制
炎症では、物理的刺激や化学的刺激、薬物といった刺激を原因に脂肪細胞やマクロファージなどから炎症性メディエーターが放出されて、組織障害が引き起こされます。この炎症性メディエーターには、サイトカインやエイコサノイド、ヒスタミンなど様々なものがあります。リンパ球や大食細胞 (マクロファージ) などが分泌する蛋白質の一種であるインターロイキン(IL)もこのサイトカインの一種で、そのうちのIL-6は慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患に関係していて、IL-8は非感染性の炎症疾患に関与することがわかっています。そこで、アスタキサンンチンがインターロイキンの放出に及ぼす影響を見るため、最近の研究では、ヒト末梢単核細胞をグラム陰性菌の細胞壁表層にあるリポ多糖類であるLPSと、たんぱく質・コンカナバリンAで刺激した上で、アスタキサンチンを添加して培養し、そのときに培地内に放出されたインターロイキンを測定しました。その結果、IL-6、IL-8ともに濃度依存的に細胞からのインターロイキンの放出が抑えられアスタキサンチンがILの放出を抑えることがわかりました。
アスタキサンチンには優れた抗炎症作用がある
人が細菌に感染すると、細菌から体を守るために生体防御反応が起こります。細菌が体内に入ると、マクロファージなどの食細胞により細菌は捕食されます。細菌を捕食したマクロファージは細胞内でIL-1、TNF-αなどのサイトカインを生成し,iNOS酵素を刺激してNO(一酸化窒素)を産生します。またIL-1、TNF-αはNF-κBを活性化させ、IL-1をさらに増産させます。増産したIL-1は、COX-2を活性化させPGE2(プロスタグランジンE2)を産生します。このようにして産生されたNO、TNF-α、PGE2は炎症反応を起こして細菌から体を守っています。しかし、さまざまな要因により毒性の強いNOが必要以上に過剰生産されてしまうと組織障害が引き起こされ、がんや老化などの原因となるのです。また過剰なPGE2の生産が痛みを増し発熱を引き起こすため、リウマチ性関節炎などの原因となってしまいますが、この場合もアスタキサンチンが抗炎症作用を抑制することが報告されています。マウスに炎症を引き起こすリポ多糖を投与して、抗炎症薬であるプレドニゾロンとアスタキサンチンを投与して抗炎症作用の比較を行ったところ、アスタキサンチンはプレドニゾロンと同様にNO、TNF-α、PGE2の産生を抑制し、その作用はプレドニゾロンの1/10であることが確認されました。また、マウスのマクロファージ様細胞であるRAW細胞を用いたin vitroの試験系でアスタキサンチンはNF-κB,IL-1βの活性を抑制することが確認されています。 ★記事提供:ウェルネスライフ
参考:食と健康ビジネス・フォーラム 炎症の元を上流で断つアスタキサンチン 食と健康ビジネス・フォーラム