クリルオイルを添加した低比率のn-6 / n-3 PUFA食餌は、卵巣切除されたマウスの炎症を軽減することにより、変形性関節症から保護します
最も一般的な関節炎である変形性関節症(OA)は、軟骨の破壊を特徴とし、その発症率は骨粗鬆症患者で非常に高くなっています。OAの発症と進行は、食事からの多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取量によって調節されるという証拠が増えてきています。本研究では、リン脂質タイプのn-3 PUFAをより詳しく調査するため、骨粗鬆症性変形性関節症デュアルモデルマウスを用いて、n-3/n-6 PUFAの割合やn-3 PUFAの分子形態を含む食事性PUFAのOAへの影響を検討しました。その結果、n-6/n-3 PUFAの割合を1:1から6:1と低くすることで、軟骨の構造が有意に改善され、関節軟骨の多糖類の減少が抑制されました。さらに、低比率のn-6/n-3 PUFA飼料は、Gタンパク質共役型受容体120(GPR120)を活性化することでNF-κBシグナル経路を阻害し、炎症を抑制するとともに異化作用を抑制しました。リン脂質型のn-3系PUFAを豊富に含むクリルオイル(AKO)は、アマニ油(植物由来のn-3系PUFA)よりもOAに対する効果が高く、これはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR γ)によるものと考えられた。以上の結果から、特にAKOを含む低比率のn-6/n-3 PUFA食が炎症を緩和し、関節軟骨の変性を抑制することが示唆されます。したがって、食事療法は、OAの治療法として期待できる可能性があるといえるでしょう。
「A low proportion n-6/n-3 PUFA diet supplemented with Antarctic krill ( Euphausia superba) oil protects against osteoarthritis by attenuating inflammation in ovariectomized mice」
Food&Function. 2021 Aug 2;12(15)
Yufeng Dai 1、Lei Zhang, Ziyi Yan, Zhuo Li, Meng Fu, Changhu Xue, Jingfeng Wang
1.(中国海洋大学、中国食品科学工学部)