健康に大事な成分

クリルオイルの原材料となる南極オキアミの捕獲について(2019-01-26)

クリルオイルの原材料となる南極オキアミの捕獲について

冬になると餌をとらずに過ごす南極オキアミですが、水温が0℃以下になっても凍らずに生きられるように不思議な酵素を持っています。南極オキアミは季節を乗り越えて脱皮を繰り返しながら体長5〜6cm、体重1〜2gになり、7年ほど生きる事が確認されています。

しかし南極オキアミは動物プランクトンの一種ですから、食物連鎖のなかではより大きな生き物のえさとなり、大半のオキアミは2〜3年で食べられてしまいます。主に魚やペンギン、アザラシなどのエサになりますが、南極オキアミを最もたくさん食べるのは鯨です。

南極海には様々なクジラが回遊してきますが、地球上の最大の哺乳類シロナガスクジラは南極オキアミを主食とする代表的なクジラです。シロナガスクジラは南極海の海面が南極オキアミで真っ赤になる頃、この南極海に回遊してくるのです。

そして南極オキアミの群れを目がけてシロナガスクジラが大きな口を開け、海水もろとも一気に飲み込みます。そして南極オキアミを海水の中からこしとるようにして食べているのです。

南極オキアミは鯨の完全栄養食。ほんの5cmほどの小さな動物プランクトンが地球上で最大になる哺乳類の栄養源になっているのです。

日本では昭和20年代から40年代にかけて、家庭や学校などで当たり前の様によくクジラが食べられていました。南極海で捕鯨が盛んにおこなわれ、そこでとったクジラの肉が小学校の給食に出され家庭の食卓にも並んでいたのです。鯨カツや鯨ベーコン、鯨の刺身は日本の食文化に独自の色彩を添えていました。

いいかえれば南極オキアミパワーが鯨を育て、そのクジラを食べて当時の日本人は高度経済成長のパワーをもらっていたのです。

地球上で最大の哺乳類のエサになりその巨体を養うほどのパワーを秘めている南極オキアミですが、ただ一つ弱点があります。それは海水から上げると酵素の働きで傷みやすくなってしまう事です。

南極オキアミは厳しい冬の間、水温が0℃以下になっても凍らずに生きていけるように不思議な酵素を持っています。ところがこの特別な酵素があだとなって、水揚げした後は鮮度がみるみるうちに落ちていきます。

この難しい問題を解決し、南極オキアミの鮮度を保つために工夫されたのがエコ・ハーベスティング技術です。

この漁法ではオキアミを海のなかに垂らした水中網で捕獲します。普通の漁のようにオキアミを集めた網を水面から持ち上げるとすぐに鮮度が落ちてしまいますが、この漁法ではオキアミを海中で集め、そのまま網の中にとめおくので、鮮度が落ちる事はありません。

網の中に留め置かれた海中のオキアミは、自然に網の先端部に集まってきます。そこにはオキアミを船の上まで吸い上げる大きなホースが付いていて、オキアミは船の上の加工工場まで一気に運ばれます。船の上に運び込まれた南極オキアミはこうして生きたまま加工されるのです。

また船には高性能のGPSシステムが搭載されているので、南極オキアミがどこで獲られたのか、正確な位置までさかのぼって確認できるトレーサビリティが導入されています。

この様なシステムが出来上がるまでは、捕獲したオキアミを一旦冷凍して陸上に運びそれから加工していました。それが今では船上で加工できるようになり、輸送コスト等が大幅にダウンするとともにエコにもつながりました。

更に網の先端部にはオキアミ以外の生き物をより分ける装置が取り付けられており、他の魚介類を捕獲して無駄にしてしまうおそれもありません。このようにして南極海で捕獲され、船の上で新鮮なまますぐに加工されたオキアミを原材料としてクリルオイルが作られるのです。

←前へ ↑一覧へ 次へ→