健康に大事な成分

EPAにはどのような働きがあるのでしょうか(2019-02-18)

EPAにはどのような働きがあるのでしょうか

クリルオイルを構成するオメガ3脂肪酸のEPAは血液をサラサラにする成分として有名になった脂肪酸です。EPAが注目されるようになったのは1960年代の研究ですから、かれこれ半世紀も前の話です。

デンマークのダイアベルグ博士らは、グリーンランドのイヌイットの人々を対象にた健康調査をおこないました。イヌイットの人々はアザラシなどの海獣を狩りでしとめて食料にしていますが、それにはEPAが多量に含まれています。EPAの摂取量が多い彼らには、心臓病がほとんどみられませんでした。

このことからEPAには動脈硬化を予防する作用があると考えられるようになりました。またこのEPAは血管や血液の赤血球に多く含まれています。血管を柔らかくしなやかにする作用があり、血管年齢を若く保つ効果があることがわかっています。さらにEPAには赤血球の膜を柔らかくしなやかにする作用もあり、血液をサラサラと流れやすい状態にするのです。

健康成分として随分有名になってきたEPAですが、残念ながら今の日本人の多くはDHAやEPAが不足しているというのが実情です。

厚生労働省が定めた日本人の食事摂取基準によると、18歳以上の男女のDHAおよびEPAの目標摂取量は「1日1g以上」とされています。毎日DHAとEPAを合わせて「1g以上」取り続ける必要があるのです。

ところが2008年度の国民健康・栄養調査によると、平均的な食事をしている日本人の男女は、すべての年代の人でDHAとEPAの摂取量が目標を下回っています。

簡単に言えば、子供から高齢者までほとんどの日本人は、DHAとEPAが不足しているのです。DHAやEPAは魚に多く含まれていますが、比較的魚をよく食べる50歳代以降の人でも目標1gの60%〜70%にしか届いていません。30〜40歳ぐらいの年代の人では、目標の20%〜30%ほどにすぎません。

この調査結果を見ると、どの年代もDHAやEPAの不足は明らかです。かつての日本人は、今よりももっとたくさんの魚を食べていました。イワシやサバなどの大衆魚は焼き魚や煮魚に料理され、毎日のように食卓にのぼっていました。1950年代までは、DHAやEPAを十分に補えるだけの量の魚を、普通に食べていたのです。

しかし1960年代以降になると、食の欧米化によって肉を食べる回数が次第に増えてきて、代わりに魚を食べる回数はしだいに少なくなりました。

このように食事の変化によって、DHAやEPAは不足するようになってきました。それにともなって明らかに増えてきたのは、動脈硬化による病気です。脳梗塞や心筋梗塞などの病気は、DHAやEPAの摂取量が減るのにつれて患者数が増えてきました。

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