リン脂質とつながったオメガ3脂肪酸の実力
クリルオイルにはこれまでくりかえし説明してきた通り、良質で効率よく利用できるDHAやEPAがたっぷり含まれています。ではクリルオイルのどのようなところが魚油よりも優れているのでしょうか。その秘密はDHAやEPAにつながっている物質にあります。
まずは魚油のDHAやEPAのつくりを細かくみてみましょう。
ちょっと専門的な話になりますが、魚油のDHAやEPAは3つの脂肪酸がグリセロールというものにつながった形(トリグリセリド)になっています。
グリセロールの別名は皆さん聞いたことがあるかと思いますが「グリセリン」です。これが脂肪酸とくっつくことによって脂肪となります。ちなみにグリセロールは無色透明で甘みと粘り気のある液体です。
トリグリセリドは脂肪つまり油ですから、水をはじく性質があります。この水となじみにくい性質のことを「疎水性」といいます。体の中ではほかの脂肪と同じようにエネルギー源として使われ、余ったものは皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織に蓄積されます。つまり魚油に含まれていたDHAやEPAは体のごく一部、脂肪にとって居心地の良いところにいるのです。
クリルオイルのDHAやEPAはつくりや居場所がずいぶん違います。クリルオイルのDHAやEPAは2つの脂肪酸とグリセロールにリン酸塩というものがつながった形(リン脂質)になっています。
皆さんはリン脂質という名前を聞いたことがあるでしょうか。リン脂質にはいろいろな種類がありますが、一般的によく知られているのはレシチンです。原料によって大豆レシチン、卵黄レシチンなどと呼ばれていますが、リン脂質を含むものをまとめてレシチンと呼ぶこともあります。ちなみにリン脂質の普段の姿はワックスの様な個体です。
リン脂質の体の中での主な働きは細胞膜の成分となる事です。細胞膜とは細胞を包んでいる膜ですが、この膜を通して酸素や栄養を取り入れ、二酸化炭素や老廃物を外に排出しています。
このような細胞膜としての働きをするためには、水になじみやすい性質「親水性」と水をはじき油となじみやすい性質「疎水性」の両方を持つ必要があります。こういった両方の性質をもつもののことを「両親媒性」といいます。
両親媒性を持つリン脂質の事を身近な例で説明しましょう。それはドレッシングとマヨネーズです。油と酢を混ぜたドレッシングは普段は水と油の2層に分かれています。使う時にはよく振って水と油を混ぜますが、時間がたつとまた二つの層に分かれてしまいます。
一方マヨネーズには、油と酢のほかに卵が含まれています。卵のリン脂質には水と油をなじませる働きがあるので、それぞれが分離することなく混ざり合うのです。
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